三章 偉大なる色は黄金色

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いつものように、いつもの場所で、私は花を一瞬を描き残していた。 いつものように、いつもの場所で、そんな私に彼女は話しかけてくる。 「天。どうしたの?今日のあなたの絵には、いつもの素直さがない」 天はその女神の言葉に返事をする。 「それは今日は・・・私が女神さんにお願いがあるからだと思う」 「天。女神さんはやめて。私たちは同い年よ」 天はその女神の言葉に嬉しさを感じつつも、言葉を返す。 「じゃ・・女神・・今日はあなたではなくて・・天使教の教祖とお話がしたいの」 それを聞いた女神はほんの一瞬だけ硬直するが、そのまま言葉を続ける。 「いいわよ。天使教の教祖として話してあげる」 「ありがとう女神。でね正確には会って欲しい人がいるんだ。その人の話を聞いて欲しい」 「まーいいわよ。会わせなさい」 私は女神を連れて、喫茶ドラゴンの店の前。さすがにこんな外見の店へ、モデル並みの容姿の女神を連れていくのは気が引けた。(祐樹さんがここじゃなきゃ嫌だってワガママ言うから・・・) しかし女神からは意外な反応が返ってくる。 「面白い店構えね。こんな良さそうなお店知っているなら、早く教えなさいよね」 「ははははっ・・」 私は苦笑いしかできない。 そのまま店内に案内する。そこにはもうコーヒーを飲んで寛いでいる祐樹さんが居た。 祐樹さんは女神の容姿を見て言葉を失ってるみたい。それがなぜか無性に腹がたつ。 「私は翼見新聞の・・」 そこで女神が話に割って発言する。 「知ってるわよ。小平祐樹さんよね?並木大学社会学部卒業。現在24歳。大学時代にレスリング66キロ級の世界王者となる。しかし3年前に膝の靭帯を損傷して引退。3人兄弟の末っ子。確かお父様は・・」 「ちょーーーー!。ちょっと待って!どうしてそんなこと知ってるの?」 「それは天に付く虫のことは調べますわ。まー経歴から問題ないと思って放置してましたけど」 俺は天に震える声で訴える。 「天。この子怖いんだけど・・・」 「ははははっ・・」 私はまたもや苦笑いしかできない・・。
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