三章 偉大なる色は黄金色

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祐樹は今までの経緯や情報を細かく蔵原女神に話した。 「なるほど。それで私までたどり着いたのね。結論から言うと、私は本城由香理から儀式の詳細は聞いていない」 「そうか・・じゃー事件とは無関係なんだね」 「小平さん。私は今聞いていないって言いましたのよ」 「え?あっその確認ができてよかったよ」 女神はそんな祐樹の言葉にため息をついて話をする。 「なぜそれを素直に信じるの?私が犯人でも聞いていないって言うかもしれないでしょう!」 「あっそうか・・その可能性もあるね・・」 女神は呆れた感じで話を続ける。 「どうもあなたたちの捜査には根本的な問題があるようですね」 「はぁ・・・」 間抜けな祐樹の反応に少しカチンときたのか、少し怒り気味に女神は話をする。 「今の話を総合すると、本城由香理は儀式の日に計画的に殺害された。まーなぜここで殺人って判断したかは理解できないけど、その根拠があるとすれば、これを実行できたのは儀式に参加した7人だけ。ここまではいい?」 「はい・・そうです・・」 「それじゃー話しは単純でしょう。どうしてこんな簡単な事件がわからないのか理解できない」 祐樹は女神の勢いに押されてオドオドと言葉を投げる。 「えーと。どういうことでしょうか・・?」 「儀式に参加したのは全員女子中学生だよね?本城由香理は何の外傷もなく【溺死】したんだよ?それを計画殺人だって言うのなら何かおかしくない?」 「もう少しわかりやすく・・・」 そんな祐樹の言葉に、女神は鋭く睨みつけると、話を進める。 「窒息死と溺死の違いわかる?」 「え・・・と・・はははっ・・わかりません・・」 「窒息死は呼吸を阻害されて、血中酸素濃度が低下、二酸化炭素濃度が上昇して機能障害により死亡すること。溺死は肺に水が溜まったりして気道がふさがれて窒息死すること。溺死と検死結果が出ているってことは肺に水が溜まっていたってこと」 「それで・・・それがどうしたんでしょうか・・」 「呼吸している人間を、何の抵抗もなく溺死されるのはそんなに簡単じゃないでしょう?想像してみて。人を無理やり水の中に頭を押し入れたらどうなる?」
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