三章 偉大なる色は黄金色

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俺は小声で天に彼女の色を聞いた。しかし天からの答えは意外なものだった。 「女神の色は黄金色なんだけど・・・黄金色は感情が混ざってもその色合いを変えないみたいなの・・だから・・感情の色は見えない・・・」 「へーそんなことがあるんだ・・」 最後に、俺はどうしても気になることがあったので蔵原女神に質問する。 「蔵原さん。これはあくまでも個人的な興味から聞きたいんだけど。質問していいかい?」 「いいですよ。聞いてください」 「君はどうして天使教なんてものを作ったんだい?」 蔵原女神は端的に毅然として答える。 「人間の行動観察と分析。宗教のような集団心理での行動、それも思春期の不安定な精神状態での行動心理に興味があったからよ」 「それじゃー別に宗教に興味があったわけじゃないんだ」 「だから私は天使教を、並木区と言う限られた中だけで広めたのよ。本気で宗教をやるつもりなら、もう少し広い視野で見ているわ」 「なるほどね・・」 それから蔵原女神は天を見つめると、少し説教気味に話をする。 「それより天。あなたがどうしてこんなことに首を突っ込んでるの?」 天はいきなり話を振られ、ちょっとびっくりしたようだけど、明るく言葉を返す。 「それは真実を突き止める為だよ」 「そんなのこの人にやらせておけばいいでしょう?あなたには関係ないことじゃない」 「いや・・そうだけど・・私は協力したいの・・・」 それを聞いて、蔵原女神は今までより鋭い顔つきになり、重量感のある声でこう提案してくる。 「じゃー私も協力してあげようか?」 「え?本当?女神が力貸してくれるんだったら助かるよね祐樹さん」 「そうだな。蔵原さんはかなり頭がキレるから大変助かるよ」 ドン!! しかしそれを聞いた蔵原女神は机を勢い良く叩く。俺と天は硬直する。 「あなたたちはそれがダメなのがわからない?私は事件の関係者よ。言うならば容疑者!よく考えて。事件を協力するふりして、自分に有利に捜査を進めるかもしれないのよ?」 そしてさらに勢い良く話しを続ける。 「あなたたちは容疑者全員に会ったよね?今から現実を告げるわ。『その中に犯人がいるのよ』それから目を背けたら真実なんて一生たどりつけないわよ」
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