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「美海、可愛い」 「頼さん、抱きつきたかったんですか?」 「フッ まあ、それだけじゃないけどね? 今はこれで我慢しとくよ」 「それより、友達に彼氏が出来た事は話しても大丈夫でしょうか?」 「…!」 「頼さんが嫌だったら暫くは内緒に…」 「彼氏って言ってくれるの?」 「え? 違うんですか?」 「嫌、それで間違いないよ」 頼はまさか美海から"彼氏"のフレーズが飛び交うとは思わなかった為、嬉しい気持ちでいっぱいであった。 夕飯が完成すると、美海がこんな提案をしてくる。 「あ、頼さん? 食べさせ合いしてみます?」 「…いいね? やってみよっか」 頼はニッコリ微笑むと、美海の隣に座るとビーフシチューを口元に運ぶ。 「美海、あーん?」 「は、はい」 美海はパクっと口に含むと、幸せそうに味わっていた。 「俺も食べさせて?」 「あーんして、頼?」 「…呼び捨てとかいい」 「食べないの?」 「食べる!」 頼も同様に食べ始めると、美海はニッコリ微笑む。 「頼さん、着替えとかどうされます? 兄の服ならありますよ?」 「頼むわ」 「わかりました。 用意しますね」 夕飯を済ませた美海は兄のパジャマを手渡してきたので、頼は先に入らせてもらった。 俺は美海が風呂に入っている間、すべての施錠をして窓からこっそり外を覗いていた。 「頼さん、寝ましょうか?」 「あ、そうだな」 「ふふっ パジャマピッタリでしたね」 「美海、何もしないから一緒に寝ていい?」 「…えっと、何もしないのなら」 「わかってる。 ほら、隣に来て」 美海は頼の隣に寝転ぶと、いつもとは違って安心して眠りに就く事ができたのだった…。
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