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「推理小説が好きです」 「そうなんだ? 恋愛モノじゃないんだね」 「恋愛モノもまあ読みますけど、やはり推理モノですね? 主人公の気持ちになって考えるのは楽しいです」 「なるほどね? 美海ちゃんは何か夢はある?」 「それがあると良いんですけどね? 今は見つかっていません」 「そっか? まあ、夢を持つのは大人でも出来るからね? 大丈夫だと思うよ」 「あ、ありがとうございます?」 美海はそう告げるとニッコリ微笑むと、本を物色していたがふと手が止まった。 「あっ…」 「美海ちゃん」 「あ、あの… 手がですね?」 「俺、美海ちゃんが好き」 「…え?」 斗真の突然の告白に美海は、驚いたような拍子抜けしたような顔をしていた。 「…返事はまだ要らないから考えてくれないかな?」 「あ、でも…」 「彼氏が出来たのは知ってるよ? でも、少しでも俺にチャンスをくれないかな?」 手をギュッと握られた状態でそんな風に言われて美海はとりあえずは頷くしかなかった。 「あっ… 良かったらメールとか交換しない? ダメかな?」 「あ、はい… なら赤外線で」 「ありがとう」 斗真は本当に嬉しそうに微笑むと、携帯をポケットから出すと交換していた。 「千葉くんってモテますよね? どうして、私なんかを?」 「実は入学式の日に一目惚れしたんだ」 「…入学式って」 「勿論、高校のだよ? 桜の木の下で読書していたでしょ?」 「…! 確かにしていましたけど」 「真剣な横顔が凄く可愛くて魅力的だったんだ」 斗真がそんな風に言ってくるので、美海は真っ赤になって照れてくる。
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