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「うぅ…痛い…」 美海が座り込んで痛そうにしていると、ヒョイッといきなり体が浮き上がった。 「君、大丈夫?」 「だ、大丈夫…?!」 「急いでたの?」 「あ、あの… ストーカーかと」 「あ、何か変なヤツ居たな」 「あ、あの!」 「ん?」 「お、降ろして?」 「膝擦りむいてるよ? 立てるとは思えないけど?」 「あ…」 美海は痛そうな膝を見つめると、地面の猫缶に目をやる。 「あ、猫缶だ」 「えっ?」 「猫飼ってるの?」 「あ、はい?」 「じゃあ、お礼に猫見せてよ?」 「えっ?」 「ね? いいでしょ?」 「ご迷惑じゃ?」 「全然? 俺暇だから」 「なら、お願いします」 美海は見ず知らずのイケメンを頼りにして家まで抱えられたまま帰る事になった。 「あ、あの! ありがとうございました?」 「どういたしまして? それより、救急箱は?」 「あ、棚の右側に…」 「ちょっと我慢してな?」 そう告げると、美海をソファーに降ろして救急箱を取ると傷口をハンカチで拭いてくる。 「ヒャッ?!」 「あ、痛い?」 「ビックリしただけです」 「ふぅん? ちょっと意地悪したんだけどな」 「えっ?」 「名前教えてくれる?」 「神向 美海です」 「ミカ?」 「えっ?!」 「あ、ごめん。 俺は蓮見 頼」 「あ、あの…」 「ん?」 「何故助けてくれたんですか?」 「転んでる子を助けないヤツ居るの?」 「あ、あの…」 「さっきストーカーとか言ってたな? 困ってるのか?」 「あ、あの…」 「困ってるなら、助けたいんだけど?」 「えっ?」 「美海、ちょっと我慢ね?」 「へっ?!」 美海はビックリした反応をしてしまったが、手当は程無くして完了した。
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