第6章

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淫靡な熱に浮かされて 潤んだ瞳と視線がぶつかる。 「……はい」 美しく穢れのない僕の恋人。 彼の前ではいつだって 僕の存在自体 反省以外の何物でもないさ。 罪悪感を感じたそばから 「そんなキスじゃ、こいつは反省しないぜ」 「ンアッ……」 僕は実兄の手に奪われる。 「お義兄様の前だからな――いつもより控え目にしといてやるよ」 首だけ後ろに捻った形で 今度は征司が僕の唇を塞いだ。 「ンッ……」 渋いワインの染み込んだ 深い深い口づけ。 控え目だなんて 言葉とは真逆のキス。 「ンッ……ア……!」 九条さんの目の前で 鎌首立てた蛇のように 征司の舌は僕の口内を凌駕する。
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