第6章

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第6章

「まずいな――」 エレベーターに 乗り込んだまでは良かったものの。 どこの階に下りても黒服の強面が 今や遅しと僕らを待ち構えている。 「車は?」 「ない。慌ててタクシーで来たんだよ」 「家から呼びましょうか?」 「リムジンじゃ目立ちすぎるよ」 「たしかに」 「それに――もたもたしてたら捕まるかも」 鬼の数は多いし 相手はプロだ。 「どうする……?」 駐車場の物陰に隠れたまま 僕らがなす術なく頭を寄せ合っていた。 ――その時だ。
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