第3話 美しい月の夜想曲

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「深夜美月のCD、いっぱいあるッスねー! 俺、聴いた事ないんスよ。いいッスか?」 「凄くいいよ、特に最後に発売されたシングル、ノクターンはいいよ。好きな人の事を思い出して、勝手に涙が出て来るくらいだよ。」 「社長、聞きながら好きな人を思って泣いたんスかー?」 「ちょっと、だけだよ」 「やっぱ、好きな人いるんスね。顔、赤くして可愛いッス」 もう……。 アルバイトがその時、美月のノクターンのCDを勝手にパソコンに入れて再生した。 聞こえてくるのは深遠なる歌姫の吐息。 僕はホテルの隣の部屋から聞こえてきた、ノクターンを歌う美月の声を思い出した。 消え入る様に、囁く様な、儚いメロディー。風に吹かれた水面のように聴いた者の魂を揺らめかせる。 一瞬で恋する人への心を思い出させる、切ないノクターン。 僕がファントムを思ったように、あの時、深夜美月は元恋人を思って歌っていたんだろうか。 黙秘を続ける美月にとって、元恋人への思いもまた、頑丈な鉄の箱に閉じ込めた大切な秘密なのかも知れない。 第3話 美しい月の夜想曲/END 【次回予告】「第4話 怪盗エイプリルフール」少年小林と怪盗ファントムがデート?からの~、ミステリー?そしてクソエロ!!公開前に運営から6回程怒られました☆
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