第4話 怪盗エイプリルフール

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「本日、ルビーを頂戴する。怪盗ファントム……って、なんだこりゃ」 兄さんが封筒に入っていた手紙を見て言った。 「えっ?!」 朝食を食べていた僕は驚いて箸と茶碗を派手にテーブルに落とす。 危なく茶碗を割る所だった。 テーブルの向かいに座っている兄さんが、湯呑みに入った日本茶を飲みながら呑気に言う。 「うちにルビーなんてないもんな! それとも形見にあったっけ?」 「ないよ!」 僕は即座に答えた。 「だよな。いたずらだ。ウチに、あの怪盗ファントムが盗むようなモノはないからな。エイプリルフールのくだらないイタズラだ」 兄さんは、そう言って手紙と封筒をグシャッと丸めてゴミ箱に入れ、立ち上がる。 「じゃあ、そろそろ出勤! 行ってきます! シャー!」 謎の雄叫びを上げ、朝から元気で馬鹿っぼい兄さんが家を出るのを見届けると、僕はあわててリビングルーム兼ダイニングルームに戻り、ゴミ箱から手紙と封筒を拾った。 グシャグシャになった手紙をテーブルに広げる。 光沢のある白い封筒の表には僕と兄さんの名が印刷されていた。 これはいたずらなんかじゃない、ファントムからの予告状だ! 僕をハッカーのルビーだと知っているのはファントムしかいないんだから。
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