第1話 怪盗ファントム、現る!!

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兄さんとファントムの情報を探す約束をしてから3日後、朝からずっと同じ足音が僕の後をつけている事に気付いた。 けれど、振り向いても不審な人物はいない。かなり離れた所から聞こえるけれど、それは解る。 僕は超能力とも言えるほど、耳が異常に良いのだ。学校の帰り道、夕食の材料を買う為にスーパーに入ったが、雑踏の中でも注意すると足音に気付けた。 しかし、その足音は、僕が特売品の豚肉を他の買い物客と奪いあっている間に消えてしまった。気のせいだったのだろうか? おかしい。 ★★★ 夕食を食べながら、兄さんが聞いてきた。 「何かファントム逮捕に繋がる有力な情報はあったか?」 「いや、まだ」 「そうか、お前でも調べられない事があるんだな。まぁ、お前はまだ子供だもんな。限界があるよな!」 ムカッとした。 兄さんはたまに人の神経に触るような言い方をする。悪気は全くない。天然なのだ。でも、ムカつくものはムカつく。 僕は強い口調で言った。 「ファントムを必ず兄さんに捕まえさせるよ。だから待ってて」 立ち上がると、廊下に出て、ダンダンダンと乱暴な足音をさせ階段を駆け上がり、自分の部屋に勢いよく入った。
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