97人が本棚に入れています
本棚に追加
やけに冷えきった部屋の中、電気の消えた部屋にパソコンのモニターの灯りがポツンとついている。
あれ……?
パソコンは電源を切って部屋を出たのに。
不審に思い、パソコンに近寄ってモニターを見る。
「!!」
モニターには男の裸の画像が沢山映っていた。
それらは僕が趣味で集めたものだ。顔がカーッと熱くなった。そして、すぐに血の気を失って冷たくなった。
僕がした事ではないからだ。
画像を入れていたファイルにはパスワードをかけて誰にも開けられないようにしていた。兄さんにこんな事はできない。
そもそも、高い技術を持った人間でも出来ないハズだ。この僕がパスワードを設定したんだから!
パソコンを使うのだってパスワードが必要だ。一体誰がこんな事を?!
「ぷっ、ははっ!」
堪えきれないように笑い出す男の声が背後に聞こえた。
「誰?!」
振り向くとベッドが置かれた側の窓に誰か座っている。暗くて顔は見えない。
「君にはそういう嗜好があるのかい」
暗闇から落ち着いた低い声がする。
「泥棒? いや、単なる泥棒じゃないな」
「私の名前はファントム」
「えっ?!」
最初のコメントを投稿しよう!