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「ふふふ、教えて欲しいんだろう?」
ファントムは明らかに僕をからかっている。
「もういいです! で、あなたはここに、何をしに来たんですか?」
「君と話がしたいと思ってね」
「話? あなたと1時間も話をすると、話術で感情を操られるって聞きますよ。僕をどうにかしようってつもりですか」
「1時間も話をするつもりはないし、操るなんてつまらない事をする気もない。君と純粋に話をしてみたくてね」
「じゃあ、あなたが狙っている1億円の指輪の話でもしましょうか? 僕、ちょっと疑問があるんです」
「ほう、疑問とは?」
「僕なりにあなたの事を調べている内に疑問が出たんです。あなたは以前、宝飾品のオークションで、ピジョン・ブラッド(ハトの血)と呼ばれる色をした、25.59カラットのルビーの指輪を奪いました。ルビーとしては最高品質で史上最高額の約36億5200万円で落札された指輪です。そんな指輪を奪うようなあなたが、希少でもない1億円の指輪を欲しがるとは思えないんです」
「1億円の指輪は君にとって安物かい」
「いえ、そういう意味ではありません。あなたの狙う物にしてはいささか平凡な物かと」
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