第1話 怪盗ファントム、現る!!

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僕は、すぐにファントムが予告状を送ったシアターをパソコンで徹底的に調べた。 ハッキングの技術がこんな時に役に立つ。 8階建ての巨大な古いビル、その1階がシアターだ。同じビルの他の階には映画館やギャラリー等が入っている。 ビルは増築と改築を重ねていて、動線がメチャクチャだった。特に地下は迷路のようになっている。 モニターを見つめ、瞬時に建物の複雑な造りを記憶する。 何から何まで調べ、記憶すると、シアターでアルバイトの募集をしている事を知った。 僕がシアターに潜り込むというのはどうだろうか。 しかし、ファントムは僕の顔を知ってしまっている。 ならば……。 「よしっ」 椅子から立ち上がると、勉強机の上に手を伸ばす。 そして、ペン立てに入れたダーツの矢を手に持って、部屋の壁にかけている(まと)に向き合うと狙いを定めて矢を投げた。 トンッという小さな音を立てて、真ん中に命中する。 僕は何度も何度も繰り返し矢を的に投げ、全て真ん中に命中させた。 ★★★
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