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この一件は銀行にもバレたが、たった6歳の子供に不法なアクセスをされるセキュリティの緩い銀行だというようなイメージダウンを避ける為に警察に届けられる事はなかった。
事は穏便に済まされたのだ。
当然、両親からは激しく咎められた。お小遣いもあげてるし、貯金もあるのに何故こんな事をしたのかと問われて、僕は答えた。
「お小遣いも貯金も使うのが惜しかった」
ちなみに僕は学校ではセコケチ美少年とアダ名されている。
★★★
退屈。
退屈だなんて贅沢な不満だ。
11月のある日、僕はいつものように部屋に引きこもり、電源の入ったパソコンに向って頬杖をついている。
窓側に置かれたベッド、パソコンの置かれた勉強机。IT関連の本が置かれた本棚。全身を映す大きな鏡。壁に掛けられたダーツの的。そして僕。部屋にあるものはそれくらい。
掃除はマメにする方ではないけれど、洋服はクローゼットにきっちりとしまわれて、不潔な感じはない。
僕を閉じ込め続ける広くも狭くもない、いつもの部屋だ。
母親の胎内のように僕を甘やかす生暖かい場所。
そこは居心地はいいが、酷く退屈だった。
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