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目覚めると薄暗い自分の部屋でベッドに寝ていた。
死んでない……?
「怖かったかい?」
ファントムの声がする。ガバッと起きて、その声のする方を見た。
部屋の電気をつけず、電源の入ったパソコンの前で、椅子を前後、座る向きを逆にして、背もたれを抱えて座っているファントムが居た。
パソコンの光りを背中に受け、シルエットだけが浮かんでいて、顔は見えない。
「は、裸?!」
僕は服を着けていなかった。
そうか、バスルームで倒れたんだっけ。下半身が隠れるように慌てて布団を掛け直す。
「今更隠しても遅いがね」
ファントムが言う。
「変態!」
僕は顔を熱くした。
「昼間は楽しかったよ。でも、やり過ぎない方がいい。美しいものを自分の手で壊すのは、とても辛いからね」
自分の心臓がドクッと鼓動を大きく打つ音が一瞬聞こえた。
ファントムがとても冷たい声で言ったからだ。
きっと、本気だ。
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