第2話 受難美少年

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2次オーディションは水着審査だった。 1次オーディションを通過し、全国各地から集められた、僕を含む50人が水着姿で審査員を前に、いくつかの質問に答えるという審査だ。 ちなみに僕はスクール水着しか持っていない。水着を新調する気はなかった。優勝するかどうか解らないものにお金はかけられない。 それに本当に美少年を選ぶコンテストならば、スクール水着であろうとなかろうと、美少年が優勝するものだと思う。もちろん僕が美少年なのだと言っている訳じゃない。 ★★★ 2次オーディション会場の行われるビルに入る時に、僕はカメラクルーに捕まった。また、この前と同じ女性がマイクを向けて来た。 今日は厚めの唇にグロスを塗ってヌラヌラと光らせている。 「小林君、1次オーディション通過おめでとうございま~す」 「ありがとうございます」 僕の名前を覚えているのか。 「前回の放送を観た視聴者の皆さんから、小林君が綺麗だったと凄い反響がありましたよ~!」 「そうなんですか?」 「頑張って下さいね~!」 「ありがとうございます。頑張ります。では、失礼します」 僕は驚きながらも、カメラに向かって微笑んでみせた。
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