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すると息つく暇もなく、ワイドショー番組の取材だという別のカメラクルーに声をかけられた。
「小林君が早くも優勝候補なのではと私は思っているのですが、自信の程はいかがですか?」
テレビで観た事はあるが、名前が出て来ない若い女性タレントがマイクを向けて聞いてきた。
「そう言っていただけるのは嬉しいですが、自信は全くないです」
僕は当たり障りのない対応をする。
「ウチの番組の女子スタッフ達も、みんな小林君のファンになってますよ」
「ありがとうございます。すみません、あの、ありがたいのですが、そろそろ会場に入らないといけないので」
「今日のオーディションが終ったら、お時間いただけますか? 番組で小林君の特集を組みたいんですよ」
「かまいませんよ」
僕はオーディションの後、ワイドショー番組の取材を改めて受ける約束をした。
そんなに反響があるなんて。
もしかして、もしかすると、僕、優勝しちゃうんじゃないか?
ふふふ、来い! イケメン社員達! そんな事を思いながら、僕はビルの中に入った。
★★★
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