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転んだまま振り向くと3人の男が立っている。
1人は僕をここに連れてきたサングラスの男、他の2人は黒い目出し帽を被った男達。ノーネクタイのスーツ姿をしていた。
細身であまり姿勢の良くない、目出し帽を被っている片われは、興奮しているのか、目を血走らせ、落ち着きなく小首を何度も傾げている。
対照的にもう片方の目出し帽の男は、体格が良く、落ち着いている。腰に両手を置いたまま、微動だにしない。
「こんな綺麗な顔、メチャクチャにすんの、さすがに気が引けんな」
サングラスの男が小さな声で呟くのを僕の地獄耳が聞き取った。
僕が怯えて後ずさると、体格が良い方の目出し帽の男が近付いて来て二の腕を掴まれた。
立ち上がらされ、背後から羽交い締めにされる。
「や、やるぞ」
もう1人の目出し帽の男に、頬を思い切り拳で殴られ、口の中を切って血を吐いた。
血の味が気持ち悪い。その後、思ったより軽いパンチが両目辺りに入る。それでも痛い事は痛い。
「おい、ちゃんとやれ!」
背後の目出し帽の男が言った。
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