第3話 美しい月の夜想曲

2/26
98人が本棚に入れています
本棚に追加
/223ページ
世界的に有名な、美貌と実力を誇る若きシンガー、深夜美月〈しんやみつき〉の個人事務所に『ノクターンを頂戴する』と言う怪盗ファントムからの予告状が届いた。 一言、漠然と書かれた予告状だったが、警察の見解では美月の衣装を奪うと言う意味だろうとの事だった。美月は新曲『ノクターン』を来月のライブでトリに歌う予定だが、その時に宝石を散りばめた3億円の衣装を着るのだ。 前回指輪が奪われた事件の時、シアターで、ファントムの変装に気づいたように、もしステージでファントムが美月の変装をして歌っても、僕の地獄耳なら正体が解るだろうが、念の為、ファントムがいくら上手く美月の声を真似ても解るように美月のアルバムを毎日のように聴いて歌声を覚える事にした。 それにしても、素晴らしい歌声だ。僕は美月の曲を聴いては、うっとりとする。 美月の歌う曲のジャンルはメジャーなジャンルではなかったが、リリースする曲が次々と世界中でヒットしていた。 それは美月と言うジャンルがあるかのように独創的だった。しかし、理解しようというような難しい音楽ではなく、本能が万人の心を掴む音楽だった。 ★★★
/223ページ

最初のコメントを投稿しよう!