at the STRIPPED 2nd

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「ちょっと待った、サチ。あのな、コイツは俺の個人的な知り合いだから。モデルとかタレントとかじゃないから撮影禁止、呟き禁止」 「えー、じゃあ後ろ姿とかだったら、どうですか? 顔出さないってことで」 「ダメ。文字のみ更新可ってことで、よろしく」 「えー? マジ、ガード固いっすね」  サチは不満そうにしながらも諦めてくれたらしく、手にしていたスマホをカバンの中に仕舞った。  こういうところは素直で助かる。 「さ、切り替えて仕事仕事。サチ、着替えてきたら、カオルにホールの動きとか、色々教えてやってくれ。素人だから迷惑かけるかも知れないが、よろしく頼む」 「大丈夫です、優しく指導しまっす。カオルくんイケメンだから、グラス割っても蹴ったりしませーん!」  サチは快活に笑うと、バックにある狭いロッカースペースへ消えて行った。それを見送ったあと、カオルが小さな溜息を吐いた。 「良かった。サチさん、俺の本業知らねえんだ」 「ああ。アイツ、クラブとかまったく行かないらしいからな」 「そうなんだ」 「リズム感なくて踊れないらしいぜ。だけどフレアには興味あるんだと。最近、すこし練習見てやってるんだ」 「ふーん、じゃあ仕事だけじゃなくて、ソッチ的にも可愛い後輩ってことなんだ、あの子」  ふと皮肉めいた響きが、カオルの言葉に混じった。  もしかしてコイツは、そんな些細な事に嫉妬してるんだろうか。
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