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二人とも高いブランドの服を品良く着こなし、いかにも大人の女という雰囲気を醸している。
「ようこそ、ストリップへ」
カクテルを作りながら横目で見ていると、緊張しているのか、ヤツの表情が固い。だが女性客はイケメン店員の登場に色めき、メニューを幾つも指差しながらヤツへやたら微笑みかける。
ヤツは何度か頷き、伝票に書きつけると、逃げるように戻って来た。
「えっと、オーダーお願いします。三番ボックス、レッドアイソーダがイチ、ナイトクラブシャワーがイチ……フードも良い?」
「おう、読んで」
「ポテチリ、チーズ五種、枝豆、あさりの冷製スパが各イチ、以上です」
「サンキュー。伝票貼って、チャーム頼む。あと、フードの取り皿とカトラリーセットも人数分出して」
「はい」
緊張しながらも、ちゃんとこちらに伝える手順も踏んでいて、初めてにしては上出来だ。
これなら何とかなりそうだと安堵しつつ、俺は自分の作業に専念した。
カウンターとキッチンを慌ただしく切り盛りしているうちに、時刻は午後十時半を回った。店内はほぼ満席で、空いているのはカウンター一席のみだ。
細かいオーダーミスが出たり、全体の作業も遅れがちであったが、店は何とか回っていた。そして今日は蒸し暑かったせいか、炭酸系のロングカクテルやビールが良く出た。
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