20人が本棚に入れています
本棚に追加
/56ページ
「俺、手伝おうか?」
「へ? お前、仕事は?」
「今夜、オフだから」
「オフ?」
だから、夕方になってもその格好でうろうろしてたのか。
「祭の夜にお前が休みなんて、初めてじゃねえ?」
「うん。ほら、先週摘発されたクラブあっただろ。ホントは今夜、あそこで仕事だったんだ」
「マジか?」
「ああ。いっぺんやりたかったとこなんだけど、閉鎖しちまってさ。俺はどうやら、あの店に縁がなかったみてえだ」
カオルは残念そうに微笑んだ。
そう言えば先週、そのニュースがテレビやネットで流れていた。
摘発されたのは関東最大のクラブで、警察はたくさんの潜入捜査官を導入してハデに取り締まっていた。
ニュースを見ながら、似たような業種で働く身として、国家権力をひけらかすような警察のヤり口にムカついたのを覚えている。
最初のコメントを投稿しよう!