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プライベートでそんな場面があったら、まず俺が酔っ払いを殴り倒すが、仕事はまた別の話だ。
そういう些細なセクハラは穏便にやり過ごして、客には気分良く、たくさん飲んで貰わなければならない。
そういった話を簡単に説明すると、ヤツは横柄に頷いた。
「俺だって一応社会人だし、その辺はちゃんと判ってるから心配すんなって。つうか俺の尻なんて、誰も触んねえっつうの」
「イヤ判らんぞ。前々から言ってるだろ、お前、そういう男から見たら美味しそうなんだって」
「……」
おい、何だその「触るのはテメエしかいねえだろ」的な視線は。
確かに普段なら間違ってないけども、さすがに俺だって、仕事中は自粛するぜ。
「コホン。それから今夜一緒になるスタッフの女の子――サチって言うんだが、お前より年下だ。でも先輩に当たるから、仕事中はさん付けで頼む」
「判った。で、アンタは店長って呼べば良いのか?」
「俺も、普通にさん付けで」
「了解、アキラさん」
さらっと呼ばれて、一瞬ドキっとした。
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