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着替えを終えてからいよいよ店に降り、仕込みと入荷を捌きつつ、基本的なメニューとホールの仕事をカオルに説明した。
俺は大体カウンターにいて、ホール以外の業務全般と会計を担当する。サチはフードとカクテル以外のドリンク、そしてホールでの接客を兼任し、カオルには基本的にホールと洗い場を頼むことになる。
勿論、状況に合わせて臨機応変に対応してもらいたいと付け加えると、ヤツは神妙な顔で頷いた。
「判らない事があったら、俺かサチに何でも訊いてくれ」
「ん。つうか、休憩とかあり?」
「そうだな……取れたとしても多分、十二時近くなると思う。でも、もし休みたくなったら俺かサチに一声掛けて、キッチンに入れ。あそこなら、洗い物しながら一服くらいは出来る」
「ああ、じゃ、キツくなったらそうする。つうか、俺だってある意味立ち仕事だから、多分大丈夫だと思うけど」
「そうか。アテにしてるぜ」
心強い返事に期待を込めて、軽く触れるだけのキスを交わした。
柔らかい唇の感触をもう少し味わいたかったが、カオルは既に仕事のことで頭が一杯なのか、つれないほどの早さで俺から離れ、メニューを把握すべくリストを開いた。
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