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俺の名前は谷川健太。25歳で仕事は何もしていない。
無職、いわゆるニートだ。お金を自分で稼いでいないから、当然実家で暮らしている。
親には国民年金を毎月払ってもらい、お小遣いも月1万円を母から頂戴している。
働きたい気持ちが無い訳でも無いのだが、いかんせん俺は自他共に認められるコミュ障なのだ。
寂しがり屋の人嫌いというややっこしい性格だからタチが悪い。
寂しい気持ちを埋める手段として、アメーバピグの分身を使って仮想の世界で他人とコミュニケーションしている。
ピグの世界だと、自分を思い通りに演じる事が出来るから、実は意外と人気者として有名なピグになっている。
しかし現実ヮと言えば、ニートで彼女いない歴=年齢の童貞で、顔もいまいち冴えないと自覚している。
だから仮想世界のピグのキャラは、実際よりも【盛った】イケメン君として確立している。
現実世界では、人と会話するのが恐怖だもんで、友達もいない。ゴチャゴチャした人混みも嫌いだから、独りで部屋に引きこもって漫画やゲームや小説を読んでる方が落ち着くし幸せなのだ。
そんな俺が、まさか一瞬で大金持ちになるなんて、この時ヮまだ想像だにしていなかった・・・・・・。
4月30日時点で、すでに俺は1万円のお小遣いを使い果たしていた。
だから毎月1日にお母さんから貰うお小遣いが楽しみで仕方がないのだ。今日ヮその5月1日であった。
俺ヮいつも昼の12時頃に起きる。昼夜逆転の生活をもう7年も続けている。いつもの時間に起きて、2階にある自室からリビングに行くと、母がNHKのニュースを観ながらウドンをすすって食べている。
俺の姿に気付いた母が「おはよう」といつもの仏頂面で言った。
「おはよ」と返事しながら、喉が乾いてたので冷蔵庫から1リットルの野菜ジュースを取り出して、そのままペットボトルの口からゴクゴク飲んだ。
「健太、はいコレ、今月のお小遣い」
母は俺が座る定位置である食卓の上に、封筒を置いた。いつもまったく同じ銀行の封筒である。
「あ、ありがとう」と言って俺は封筒を手に取り、リビングを出て自室に戻った。
よし、これでまた好きなもんが買える♪たかだか1万円だが、無一文状態から比べれば天地の差である。
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