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”そんなかでも、特に熱心な”
その部分が頭の中で妙に強調されリピートする。
酔った頭の短絡思考は、そいつと今慎さんが付き添っていった男と直結した。
別に決め手なんかないのに、何故かそうだと確信していて、俺は慌ててカウンターを離れる。
「陽介? どこ行くんだよ」
「え、あー……酔い覚ましに、煙草。外で吸ってくる」
と、胸ポケットに入れた煙草の箱をスーツの上から叩いて見せると、そのまま早足で扉の外に出た。
時刻はもうかなり遅い。
段々と通りの人も疎らになってくるだろう時間だった。
店内よりも少しひやりとした空気を感じながら、目の前の階段を駆け上がる。
いや、俺が行ったところで、どうすんだよ。
そんな疑問も、確かにあったが足が止まらなかった。
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