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「陽介さん! あんたなんでも真に受け過ぎだ!」
慌てて声を張り上げる慎さんを他所に、佑さんが俺をちょいちょいと手招きをする。
「よし。そんなら木曜から土日の間はお前の飲み代は半額にしといてやる」
「まじっすか!」
「あんまり飲むなよ」
わかってるっつーの。
酔っぱらっていざっていう時役に立たねえんじゃ番犬の意味ないしな。
これ以上酔っぱらって変な失態ばっかり見せたくねえし。
何より、そんなおっさんに慎さんを口説かせてたまるか。
俄然やる気が漲る。
「佑さんは俺のやる気スイッチ見つけるのが上手いっすね」
「見つけるも何も全然隠れてねえだろが。誰でもわかるわ」
「もう……ほんとに、いい加減にしてくださいよ」
カウンターから、少し本気の怒りの声が飛んでくる。
だが佑さんは素知らぬ顔で慎さんを追い払うような仕草をしてみせた。
「うっせえ、俺の店だ。俺が店のために番犬置くの。それよりさっさと着替えて準備してこいよ、もう時間だろ」
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