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番……犬……。
パシリから犬扱いに変わり最早人間ですらない、ということはとりあえず横に置いて、だ。
番犬。
護衛。
つまりそれは、堂々と慎さんの傍に仕えることができるということであって、近づきたいと思う俺にとっては願ってもない状況だ。
「はあ? 佑さん何考えてんの?」
「いや、だってあのおっさん、暇になったら本気で口説きに来るだろ、あぶねえよまじで」
更にその言葉は、番犬という任務を最早断る理由のない俺の闘志に火をつける。
「嘘つけ面白がってるだけだろ! 顔に『めっちゃ面白い』って書いてあんだよ!」
「心外だな、俺はお前の身を案じてだな」
「やりますよ番犬。そのおっさんから慎さん守ればいいんですよね」
ぎゅっとダスターを握りしめてそう言うと、えらい剣幕で怒鳴り散らしていた慎さんがあんぐりと口を開け、佑さんはにやあと口許を緩ませた。
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