きみは番犬

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「今めっちゃ近いじゃないですか」 「これは必要じゃないすか。これ以上乗客増えたら、慎さん押しつぶされそうだし」 「……僕はそんなにか弱くない」 あからさまな守護対象的な発言にかちんときて男を睨む。 すると、彼の目線が僕の目からすっと下に降りて、どきりとした。 咄嗟に俯いて襟元に手をやった。 大丈夫、ボタンは一番上まで閉めてるし。 この角度じゃ、喉は見えないはずだ。 「いや……確かに男だしそんな弱いわけないのはわかってんですけど」 上からの視線が突き刺さるようで、目線だけ上向けて表情を伺った。 それに気づいたのか、僕の身体の方へ向けられていた彼の目線がまた上に逸れてばちりと目が合う。 途端ぽぽっと赤く頬を染めた様子に、こっちは鳥肌が立った。
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