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「乙女か! 頬を染めるな気色悪い」
どん、と陽介さんの胸を拳で殴ったけれど、僅かに揺れただけだった。
拳に伝わるのは、布越しでもわかる筋肉質の胸板の感触で、何かスポーツでもしていたのだろうかと思わせる。
「だって間近で見るとやっぱ綺麗だなー……って……んんっ」
ぎろりと睨むと誤魔化すように喉を鳴らして、話を戻した。
「何せやたらと注意事項が多くて。偉そうにしてるけど実はノミの心臓だから怖がらせるなとか」
誰が蚤の心臓だ。
帰ったら佑さんに一言どころじゃない文句を言わなきゃ気が済まない。
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