きみは番犬

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だけど、一番大事なところは漏らさずにいてくれたらしい。 佑さんが彼に告げた注意事項の内容が、それを教えてくれていた。 「あんまり心配性だから、もしかして……って変に勘繰っちまって。すんません」 「もしそうなら面白がって貴方を番犬になんかして近づけたりしないでしょう」 「心配するのは元嫁の弟だからなんすね、義理堅い人だなあ」 疑うことを知らないアホめ、と内心で毒を吐きつつ、こうも素直だと少しばかり胸が痛むのは否めない。 家族しか知らないことをこの人に話す必要もないのだけど、なぜか酷く悪いことをしている気分にさせられ、その痛みを逃すように話を逸らした。 「貴方も変わってますよね。犬扱いされて、嫌じゃないんですか」
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