きみは番犬

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念のためそこで、数分浪費する。 ここから先はどうしたって、見つかるわけにはいかない。 それにしても、佑さんがあれほど陽介さんに注意事項を言い聞かせてまで、番犬などと言い出したのか首を傾げる。 悪ふざけにしても、ほどがある。 だが、気がかりなことがあったりもしたので、正直言うと少し安堵もしていた。 海外出張から帰ってくる予定のあの男が、少し恐ろしかった。 のらりくらりと男の誘いを躱し続けて来ていたが、以前は客として店に来る程度だったのが時折開店時間以外にも店の周辺で見るようになっていたからだ。 ゴミ出しに出た朝に声をかけられ、ぞくりと背筋の寒くなるような思いをしたのである。 余り佑さんに心配をかけさせたくなくて今まで黙っていたけれど、もしかすると気付いていたのかもしれない。
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