きみは番犬

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「なんですか、桃色って」 肩を竦めてそう言うと「そんな仕草が、男っぽいのよ」とクスクス笑う。 「慣れてますけどね、どこ行ってもそういう扱いなので」 「あー……そりゃそうでしょうよ」 言いながら全身を舐めまわすように見るので、敢えて背筋を伸ばして紳士らしい立ち姿を意識する。 女性のこういう目線には慣れっこなので、今更鳥肌は立たない。 「着替えてきますね」 首を傾げて笑みを浮かべ、先生とその背後の女性に目を向けると、ぽっと頬を染めるのがわかり内心でほくそ笑んだ。 「わかっててやってるでしょう、神崎さん」 ええ、わかってます。 確信犯です。 女子高だったので、王子様スマイルはお手の物だ。
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