きみは番犬

23/26
421人が本棚に入れています
本棚に追加
/26ページ
「なんで待ってんですか」 「番犬ですから」 「あー、……そ」 と力が抜けて返事も雑になる。 すたすたと駅に向かって歩き出すと、当然の様に隣に並んだ。 「店までちゃんと送らないと、それこそ佑さんに出入り禁止にされますよ俺」 「飲み屋は他にもいくらでもありますよ」 「あー、もうちょい店から繁華街の方に近づけばたくさんありますよね。でもあの店好きなんで」 暖簾に腕押しとはこのことだ。 糠に釘……他に、なんかあったっけ? うざいしうるさいし話が通じるようで通じなくて……というか、厭味が通じない。 散々苛々させられるが……彼は、店を好きだと言った。
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!