きみは番犬

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「別れた今の方が仲良くしてるみたいだし、いい関係のようですよ。僕はただあの店で働かせてもらってるだけ。姉も知ってますしね」 ぽかん、と口を開けた顔は、恐らく僕の答えが思っていたものと違ったからなのだろう。 耳が垂れてしょぼくれた犬を彷彿とさせる表情で、それが存外可愛らしくて思わず噴き出した。 「僕はそういう趣味はないって言ったでしょう。一体何を言われてそういう発想になったんですか」 僕が出かける準備を済ませて店に戻った時、何やら二人で話しを済ませたような雰囲気があった。 その時は特に気にも留めていなかったが、もしかすればその時何かを言われていたのかもしれない。 佑さんのことだから、面白がって陽介さんをからかったに決まってるけど、余計なことまで話していないか、急に心配になった。
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