番犬の役目

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慎さんはテーブルの隅にあった紙ナプキンの束から一枚抜き出しそれにペンを走らせて、ウェイトレスに向かってペンと一緒にまた笑顔を差し向けた。 「ありがとうございました」 案の定ウェイトレスは顔を真っ赤に染め、受け取ったペンをぎゅっと胸元にそれはそれは大切そうに握り締めて、ぺこりとお辞儀すると走り去る。 ああ、なにこれ。 浩平やらウェイトレスやらこの人と一緒にいるとずっとこんなハラハラしていなければならんのか。 慎さんを相手にする場合、男も女も関係なくライバルになるということか。 これはかなり気合いをいれていかねばならない、とテーブルの上で拳を握っていると、そこへぱたんと二つに折られた紙ナプキンが差し出された。
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