番犬の役目

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「お、私服だと印象が違うな」 そう声をかけてくれたのは佑さんで、彼の真ん前のカウンター席にオシボリを置かれたので否応なくそこに座ることになる。 「あ、すんません。緩すぎました?」 「いいや。別にいいよ、んな堅苦しい店でもないし」 いつもは会社帰りだから必然的にスーツだった為余り気にしていなかったが、改めて店内の客を見ると、スーツの男が一人とテーブル席に女が二人。 流石にパーカーはなかったか、と自分の格好を見下ろしたが「休日はラフなヤツも多いよ」と佑さんが重ねて教えてくれたので、ほっと胸を撫で下ろす。 慎さんは俺に目線をくれたのはほんの一瞬で、今はカウンターの反対隅の席にいる他の客と会話をしていた。 「ちゃんと飯食わせてくれてサンキューな」 「いや全然っすよ。こっちは寧ろ美味しい思いさせてもらったし」
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