503人が本棚に入れています
本棚に追加
「……なんだよ美味しい思いって」
訝しく眉根を寄せる佑さんに、ふふんと得意顔で鼻を鳴らす。
「電車の中で結構混んでて、俺がいないと慎さん押されて大変だったかもしれないし」
実際には邪魔だと言わんばかりに睨まれた挙句、気持ち悪いと胸を殴られたが。
「パン好きで焼き立てホカホカに弱いってわかったし、携帯番号も教えてもらえたし」
携帯はほんとは浩平の次いでだが、そんなことよりもほかほか発言はマジで可愛かった……!
今思い出しても顔がにやけてくるのが止められない。
「……お前、哀れなやつだな」
それのどこが美味しいんだよ、と佑さんが頬を引き攣らせていたが、その中に微かに安堵が混じっているのを確かに見た。
ような、気がする。
最初のコメントを投稿しよう!