番犬の役目

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む……と眉根を寄せているとくつくつと肩を揺らしながら「で、何を飲むんだ」と尋ねてくる。 「コロナで」 「拗ねんなよ」 手際よく栓が抜かれた瓶に、櫛切りのライムが押し込まれて目の前に置かれた。 「佑さんはなんでそんなに心配するんですか」 「あ?」 馬鹿にされて拗ねていると思っていたらしい佑さんは、胡乱な目で俺を見てぽかんと口を開けた。 「慎さんだって男ですよ? いくらなんでもちょっと過保護なんじゃ」 昼間からずっと持っていた疑念を取っ払おうと、本人に直接聞くことにした……って別に考えてたわけじゃないけど口から飛び出た。 暫く呆気にとられていた佑さんは、数秒経って漸く俺の疑念に気付いたらしい。 「お前なあ」と呆れた声を出しながら、がしっと片手で俺の頭を掴んだ。
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