番犬の役目

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なんだ、じゃあやっぱり俺の思い過ごしか、ととりあえず気を取り直して、もう一度左方向へ視線を向ける。 あのおっさんが、そうなのか。 梶孝弘。 慎さんをしつこく追っかけるストーカー疑惑のゲイ。 一見それほど変な男にも見えないし、寧ろ仕事も出来そうで社会的にも高い位置に居るような、そんな匂いがぷんぷんする。 しかも男から見てもいい男だった。 俺の元カノを寝取って行った、あの鉄人上司の顔が思い出される。 なんでだ。 なんで俺の回りって一般的な規格を逸脱した人材ばかり出てくるんだ。 大体、慎さん自体どっからどう見ても規格外だし。 でも、接客モードじゃない時は結構不愛想だったり、妙に可愛い発言があったりするとこがまた良くて……。 若干心が折れそうになったが、昼間の慎さんのほかほか発言を思い出して癒されてしまう俺って結構単純だな。
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