番犬の役目

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「あんま、じろじろ見んなよ。……向こうの隅に赤いバラが生けてあるだろ」 佑さんが目線で示した先には、見事な大輪の赤い薔薇の花束が花瓶から溢れんばかりに飾られている。 確か昼間にはなかったはずだ。 「あれな、梶さんが慎にって持ってきたんだ。1日遅れの誕生日プレゼントだと」 「げ。まじすか」 普通、男の誕生日プレゼントに花束を贈るか? しかも真っ赤な薔薇ときた……いや、悪くない。確かに慎さんには怖いくらいに似合うけれども。 それよりも、はた、と重要なことに気が付いた。 「しまった、俺、昨日から一緒に居るのに何も用意してないままだ!」 なんてこった! こんなことなら仮眠なんかしないでプレゼントでも探しにいきゃ良かった!
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