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「っ!」
がた、と椅子から立ち上がりかけて止まったのは、ここが店内で今が営業中であるということと。
慎さんがそれを慣れた様子でするりと躱して手を引き抜き、実際に口づけが落とされることはなかったからだ。
「陽介、お前顔に出し過ぎ」
横から苦笑いの茶茶が入るが、いや、仕方ない。
これは仕方ない。
なんなんだあいつ、しかも他の客もいるのにお構いなしか。
佑さんが、見ればわかると言っていたのはこういうことかと合点がいく。
俺の方へ近づいた慎さんまで俺の顔を見て苦笑いをした。
「なんて顔してるんですか」
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