番犬の役目

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「あ……いや」 本当なら今すぐ大丈夫だったか気持ち悪くなかったか(例え自分のことは棚上げだろうと)心配で聞き出したいとこなのに、慎さんの見事な躱し方を目にして俺に今できることなどないと知らされ、情けなく言葉に詰まる。 ちくしょう、不甲斐ない俺。 そんな俺に彼は何を思ったのか、ぱちぱちと瞬きをして言った。 「耳と尻尾が垂れてますよ」 「は?」 「いえ別に。で、何かご用ですか?」 「え、あ、用っつーか……」 にこりと艶やかな微笑でころりと話しが変わる。 慎さんと目が合って嬉しかったから声をかけただけ、だったのだが。 またあのおっさんのとこにすぐ戻られるのも癪なので、ちょうど聞きたいと思ってたことを聞くことにした。
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