番犬の役目

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ビル周辺では、慎さんの好みもわからないので結局大した店も見つけられず、和食洋食どちらでもいけるようにファミリーレストランを一軒見つけて置いたのだが、店の近くに戻ってからの方が良いと慎さんが言うのでそのように。 言いなりだな俺。 いいんだ番犬だし。 忠犬? まあいいや。 二人で入ったカフェはこじんまりとしていて、土曜の夕方であるがそれほど混んでおらず居心地の良い店だった。 ベーグルサンドとカフェオレを前にゆったりと食事を勧める慎さんの横で、がっつりパスタを頬張る俺。 違う違う、俺ががっつり食うんじゃなくて、慎さんに食わせたかったのに。 「いいんですか、そんなんで。パンとかすぐ腹減りません?」 「パンが好きなんです。これはベーグルですけど」 「ベーグルってパンじゃないんすか」 「……さあ」 ベーグルサンドを手に、然して興味もなさそうに肩を竦める。
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