例えるなら、水のような

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陽介さんが番犬に任命されたあの日から。 彼は律儀に週末の夜は店に通い、平日でも暇さえあればやってくる。 ……この性格最悪髭オヤジにからかわれているとも知らずに。 「お、そろそろ陽介来る頃じゃねえ?」 「佑さんお洒落ヒゲのつもり? 全然似合ってないからやめれば」 「なんでいきなり不機嫌なんだよ」 「佑さんが面白そうだからだよ!」 土曜の午後。 絶対、ほとんど寝れてない。 はずだ。 店に泊まらせたのは酔いつぶれたあの日だけだが、さすがにこれだけ頻繁に通って来られては、彼の健康状態が心配になっても当然だと思う。 昨夜も朝方近くまでここに居たので、一度家に帰らせたのだが。 僕が道場に向かう時間には、またやってくる……多分。
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