494人が本棚に入れています
本棚に追加
「脅かさないでください、まだ開店時間ではないですよ」
「ほんの少し、珈琲を飲む時間くらい付き合ってくれてもいいだろう」
どうしても不気味さを拭い切れないことに、頭の中ではガンガンと警鐘が鳴っている。
なるべく背を向けないように店のドアノブに手を伸ばすと、同時に彼は最後の段差を降りたところだった。
「申し訳ありません。梶さん、冗談もここまでくるとスマートではないですよ」
もう断る理由を考えるのも面倒で、おざなりの謝罪を口にする。
そこでつい余計な軽口を叩いてしまうのは、もう条件反射というか現実逃避というか。
冗談で済んで欲しい、頼む。
「いやあ、ちょっとやりすぎたかな」とか言ってくれ、でないと気色悪くてかなわない。
最初のコメントを投稿しよう!