493人が本棚に入れています
本棚に追加
「面白いのは確かだけど、手綱引いてるのはお前だからな」
「なんだよ手綱って」
「……パーカーの紐?」
ますます意味がわからん。
眉根を寄せながらスツールの椅子をカウンターに上げて掃除機をかける準備をしていると、佑さんが続けて言った。
「それに、あいつと一緒だとお前、ちゃんと飯食って帰ってくるし」
「僕だって腹が減れば飯ぐらい食うよ」
「そうじゃなくて。道場と店くらいしか行き来しない引きこもりみたいなもんだろ、それがないと」
そう言われると、ぐうの音も出ないというか。
黙々と椅子を持ち上げ、最後の一つをカウンターに乗せ終える。
佑さんが面白がってる他にも何か要素があるとすれば。
僕の為なんだろう。
最初のコメントを投稿しよう!