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考え始めるとつい不審な目を向けてしまいそうになるが、今は目の前のパンが最優先だ。
「……いただきます」
「慎さんお気に入りの例のパンにはかなわないかもしれませんけど……そっち絶対買ってくるんで楽しみにしててくださいよ」
「ありがとうございます」
くっ。
パンが絡むとどうしても素直になってしまう、と若干の悔しさは拭えないが。
彼に頼んだ例の限定パンが、もうすぐ食べられる。
三日後の火曜が、約束の祝日なのだ。
そりゃ、素直にもなるってもんだ。
「珈琲いれてやるから食ってから行けよ」
「あざっす!」
佑さんが何やら含み笑いをしていたが、僕は敢えて無視をして受け取った紙袋からパンを出してカウンターに並べた。
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