例えるなら、水のような-2

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紛らわしいんだよ! と悪態を吐きたくなるが、残念ながらそう言うわけにもいかない。 代わりにと言っていいものか、陽介さんが未だに牙を剥いていた。 「だからって強引に迫っていいわけないだろ」 「だから悪かったと言ってるだろう、しつこいね」 勘弁してくれよ、とでも言いたげに眉尻を下げる彼に、漸く少し、笑みを浮かべる余裕ができた。 「こちらこそ、過剰に反応してしまったかもしれません。ご心配をおかけしました。……ですが、こんな風に開店時間外に店に来られるのは困ります」 「ああ、申し訳なかった。もうしないよ。……どうやら君は恋愛対象ではなかったようだし」 だから僕はゲイではないと、あんたにも何度も言ったはずだけど。 いらっとしたが、それでも漸く納得してくれたらしいことに安堵した。
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